11月に入ると、ホームセンターや園芸店に果樹の苗がたくさん並び始めます。なかでもレモンなどの常緑の柑橘は、今がいちばん苗を見かける時期です。

ただ、いざ売り場に行くと「リスボン」「璃の香(りのか)」「サイパン」など、品種がいくつもあって迷ってしまいますよね。「レモンは日本の冬に弱くて枯れる」という話を聞いて、買うのをためらっている方もいると思います。

この記事では、レモンの苗を買うか悩んでいる初心者の方に向けて、レモン苗の選び方(おすすめ品種の味・大きさ・耐寒性の比較)と、買ってきたあとの植え替え、鉢植えでの冬越しまでをまとめました。私は茨城県(関東の北のほう)で、2022年の秋に買ったリスボンレモンを鉢植えで育てています。枯れることなく冬を越し、買った翌年にはもう実をつけてくれました。

結論

① 品種のおすすめは2つ。「レモンらしい強い酸味」ならリスボン、「たくさん実をつけたい」なら璃の香です。
② 関東から北の地域なら、地植えではなく鉢植えがおすすめです。少なくとも買ってきた最初の年は鉢で育て、しっかり防寒します。
③ 買ってきたら、まず根の張り具合を見ます。根が少なければ植え替えずに3月を待ち、ある程度張っていれば根鉢(根と土のかたまり)を崩さずにひと回り大きいスリット鉢へ。根がパンパンなら、根をほぐして1〜2回り大きい鉢へ植え替えます。
④ 元肥をしっかり入れ、最初の1年は剪定より肥料で株を育てることを優先します。

本来の植え替えの適期は3月です。11月に植え替えるかどうかは、苗の根の状態で決めます。

関東の北でもレモンは育つ?私のリスボンレモンの記録

「レモンは寒さに弱いので、関東より北では難しい」とよく言われます。確かに柑橘は寒さに弱い果樹ですが、品種と育て方を工夫すれば、北関東のわが家でも屋外の鉢植えで育っています。まずは、わが家のリスボンレモンの様子を見てください。

2023年2月27日、2022年秋に植え付けて最初の冬を越したリスボンレモンの鉢植え。冬のあとでも葉が残っている
2023年2月27日。2022年の秋に植え付けて、最初の冬を越したところです。

寒さで葉が少し黄色っぽくなりましたが、冬のあとでも葉はちゃんと残っています。この最初の冬は、不織布で鉢ごと包んで軒下に置くだけの防寒でした。

2024年9月7日、植え付け翌年のリスボンレモンに緑色の実がついている
2024年9月7日。今年もしっかり実がつきました。

実は、買った翌年の2023年からつき始めました。株がまだ若いうちは、たくさん実をならせると木が疲れてしまうので、実が1個だけになるように間引いています。

2026年11月のリスボンレモン。秋枝の剪定とお礼肥のあとで、収穫前の実がついている
2026年11月の様子。秋枝の剪定とお礼肥を済ませたところで、この実はこのあと収穫します。

今年も実がつき、11月の今は収穫を待つばかりです。「日本の冬で枯れてしまう」と心配するより、最初の冬をどう越させるかを考えるほうが大切だと感じています。

レモンの品種比較表|味・実の大きさ・耐寒性・トゲの違い

レモンは品種によって、味も実の大きさも、寒さへの強さも違います。苗でよく見かける代表的な品種を表にまとめました。

品種味実の大きさ寒さへの強さトゲひとこと
リスボン酸味が強く、香りも強い。「レモンといえば」の味100〜140g前後レモンの中では強い方やや多いいちばんの定番。迷ったらこれ
璃の香(りのか)酸味はまろやかで、香りは控えめ約200g(リスボンの約1.3倍)資料によって評価が分かれる少なく短い実つきがよく、かいよう病に強い。収穫は11月下旬と早め
サイパンレモン酸味がしっかりあり、果汁が多い(ややマイルドとする紹介もある)大きめ(リスボンより大きい)-3℃を下回らなければ屋外で冬越しできるとされるあり大きな実を楽しみたい方に
ユーレカ果汁が多く、香りが高い。酸味も強い110〜130g前後弱い(リスボンより弱い)小さく少ない世界的な定番。国内ではハウス栽培が多い
マイヤーレモン酸味が少なく、甘みとまろやかさがある。皮の苦みも少ない100〜130g前後(やや小ぶり)比較的強い—レモンとオレンジの交雑と考えられている品種。酸っぱすぎるのが苦手な方に
ビラフランカレモンらしい酸味と、さわやかな香り—やや強い小さく少ないトゲが少なく扱いやすい
ジャンボレモン(ポンデローサ)—800〜900g——とにかく大きな実

※数値は苗の販売店や農研機構などの資料をもとにした目安です。「—」は確かな情報が見つからなかった項目です。寒さへの強さは、どれもレモンの仲間どうしで比べたときの話で、柑橘の中ではレモン全体が寒さに弱い部類です。

初心者におすすめの品種はリスボンと璃の香|選び方は「味」と「実の数」

いろいろな品種がありますが、私がおすすめしたいのはリスボンと璃の香の2つです。

リスボン:「ザ・レモン」の強い酸味を求めるなら

リスボンは、レモンの中でもいちばん代表的な品種です。強い酸味と香りがあり、まさに「レモンといえば」という味です。レモンらしい酸っぱさを求めるなら、リスボンを選べば間違いありません。

また、一般にレモンの中では寒さにやや強いと言われています。わが家が北関東でも育てられているのは、品種がリスボンだったことも大きいと思います。トゲがやや多いので、作業のときは手袋をすると安心です。

璃の香:たくさん実をつけたいなら

璃の香は、農研機構(国の研究機関)がリスボンと日向夏をかけ合わせて作った、日本生まれの品種です。2015年に品種登録されました。

いちばんの特徴は、実がたくさんつくことです。花がよくつき、実がたくさんなる年と少ない年の差(隔年結果)も出にくいとされています。実はリスボンより大きく、レモンに多い「かいよう病」にも強いのが心強いところです。トゲも少なくて短いので、扱いやすいです。

味は、リスボンに比べると酸味がまろやかで、香りは控えめです。寒さへの強さは、農研機構の資料では「問題は認められない」とされる一方、「リスボンより劣る」と書く販売店もあり、資料によって評価が分かれます。北関東で育てるなら、リスボンと同じように最初の冬はしっかり防寒しておくと安心です。

ほかの品種を選ぶなら

大きな実を楽しみたいならサイパンレモン、酸っぱすぎるのが苦手ならマイヤーレモンも候補になります。マイヤーはやや小型にまとまる性質があり、鉢植えにも向いています。ただ、ユーレカは寒さに弱く、サイパンも-3℃を下回る地域では屋外の冬越しが難しいとされているので、関東から北で育てるなら、冬の置き場所まで考えてから選んでください。

レモンは鉢植えと地植えどっちがいい?関東より北なら鉢植え

レモンを鉢植えにするか、地植えにするかも迷うところです。私のおすすめは鉢植えです。

レモンをはじめ、みかんの仲間の常緑の柑橘は寒さに弱い果樹です。暖かい地域なら地植えでもたぶん平気ですが、関東より北の地域では寒さでかなり弱ってしまいます。地植えにすると、冬の寒さをまともに受けてしまうので、あまりおすすめできません。

買ってきた最初の年は、必ず鉢植えで防寒する

少なくとも買ってきた最初の年は、寒さに慣らすためにも鉢植えにしてください。

というのも、お店に並ぶ苗木は、いろいろな地域の生産地で育てられ、そこから運ばれてきています。苗はそれだけで、かなりの環境ストレスを受けているはずです。植物はレモンに限らず、環境のストレスでかなり弱ります。急にまったく違う環境に来た株を、いきなり冬の地面に植えるのは負担が大きすぎます。

鉢植えなら、鉢ごと包んだり軒下へ動かしたりと、防寒がしやすくなります。まずは鉢植えにして、最初の冬をしっかり守ってあげましょう。

鉢植えレモンの冬越し:不織布で鉢ごと包んで軒下へ

防寒は11月中旬から12月上旬のあいだに済ませます。11月下旬から12月に入ると、急に冷え込む日が出てきます。防寒をしていないと、そこで一気に葉が落ちることがあるので注意してください。

  1. 100円ショップなどで売っている不織布を用意します。
  2. 木だけでなく、鉢ごと丸めて包みます。根っこも寒さから守る必要があるからです。
  3. すき間ができないよう、洗濯ばさみなどでしっかり留めます。
  4. 包んだ状態で、軒下に移します。

少なくともここまではやってください。やらないと葉がかなり傷みます。緑がだんだん抜けて黄色くなり、寒さで何枚か落ちてしまいます。

さらによいのは、不織布で包んだうえで、ホームセンターなどで3000〜5000円ほどで売っている小さな簡易ビニールハウスに入れることです。今の私はそうしています。ただ、簡易ハウスを買ったのは2年ほど前で、それまでは不織布だけで冬を越してきました。初年度から簡易ハウスがなくても、不織布で包んで軒下に置けば、茨城県のわが家では枯れませんでした。

※防寒のくわしいやり方は、別の記事でまとめる予定です。

レモンの苗を買ったら:スリット鉢への植え替え

植え替えには、スリット鉢を使います。スリット鉢は、側面と底に切れ込み(スリット)が入った鉢で、水はけがよく、根が鉢の中でぐるぐる回りにくいのが特長です。ただし、買ってきた苗をすぐ植え替えるかどうかは、根の張り具合しだいです。

レモンの植え替え時期は3月。11月は根の張り具合で決める

レモンの植え替えにいちばん向いているのは3月です。3月なら、これから暖かくなって新しい根がすぐ伸びるので、根鉢を崩しても問題ありません。

11月に買った苗は、ポットの底穴から根が出ているか、ポットからそっと抜いて根の回り具合を見て、次の3通りで判断します。

苗の根の状態11月にやること理由
根があまり張っていない植え替えず、3月を待つ根が少ないうちに動かすと、冬を越す力が弱るため
ある程度、根が張っている根鉢を崩さず、ひと回り大きい鉢へ植え替える秋のうちはまだ生育するので、冬までに新しい土へ根を伸ばせるため
根がパンパンに張っている根鉢を崩し、熊手などで根をほぐして、1〜2回り大きい鉢へ植え替える根詰まりのままだと、冬の寒さで根を傷めてしまうため

根鉢を崩すのは、本当はこの時期にはよくありません。冬に向けて根を張らせないといけないからです。ただ、根がパンパンに詰まった苗をそのままにしておくと、冬の寒さで根を傷めてしまいます。その場合だけは、根をほぐして大きな鉢に植え替えてあげてください。

植え替えないで3月を待つ苗も、買ってきたポットのまま冬の防寒はしっかりしてください。

土は草花用の培養土でOK。元肥はマグァンプKをしっかり

土は、特別なものでなくても大丈夫です。お店で売っている草花用の培養土で十分育ちます。自分で作るなら、赤玉土と腐葉土を混ぜて作るのがよいと思います。

そして大事なのが元肥(植え付けのときに土に混ぜておく肥料)です。レモンはよく肥料を必要とする果樹なので、植え付けのときに元肥をしっかり入れてください。私はマグァンプK(中粒)を、袋の表示どおりの量で土に混ぜています。約1年ゆっくり効くので、元肥はこれで十分です。

11月の植え替えの手順(根鉢を崩さない場合)

  1. スリット鉢に、元肥を混ぜた培養土を少し入れます。
  2. 苗をポットからそっと抜きます。根鉢は崩さず、土もほぐさず、そのままの形で扱います。
  3. 鉢の真ん中に置き、すき間に土を入れていきます。接ぎ木苗なら、接ぎ木の部分が土に埋まらない高さにします。
  4. 鉢底から流れ出るまで、たっぷり水をやります。
  5. 日当たりがよく、冷たい風が当たりにくい場所に置きます。

根がパンパンの苗は、2の手順で根鉢を崩し、熊手などで固まった根を外側からほぐしてから、1〜2回り大きい鉢に植えます。ほかの手順は同じです。

最初の1年は剪定より肥料で株を育てる

植え付けたら、最初の年は剪定などはあまり気にしなくて大丈夫です。それよりも、しっかり肥料をあげて、株を大きく育てることが大事です。

株が育ってきたら、夏枝・秋枝の剪定や、枝を広げる仕立てを始めます。わが家では、切る剪定はせずに、麻ひもで枝を引っ張る「誘引」だけを最初の年から少しずつ進め、枝がまっすぐ上ではなく横に広がるように直してきました。

2023年2月27日、リスボンレモンの枝を麻ひもで引っ張って矯正し始めたところ
2023年2月27日。麻ひもで枝を引っ張り、形の矯正を始めたところです。
2026年11月、上から見たリスボンレモン。太い枝が放射状に広がるように仕立てている
2026年11月に上から見たところ。枝が上にまっすぐ伸びないよう、放射状に仕立てました。太い枝が3〜4本、別々の方向へ伸びるのが理想です。

剪定の詳しいやり方は、下の「次に読む」の記事で紹介しています。まずは最初の1年、肥料を切らさずに元気に育てることから始めましょう。

よくある質問

11月に苗を買っても大丈夫?

大丈夫です。わが家のリスボンも2022年の秋に買いました。11月は苗がいちばん出回る時期なので、品種を選びやすいのも利点です。植え替えるかどうかは根の張り具合で決め、11月中旬〜12月上旬には不織布で鉢ごと包んで防寒してください。

関東より北で、地植えはできない?

寒さをまともに受けるので、あまりおすすめしません。少なくとも買ってきた最初の年は鉢植えで育て、寒さに慣らしてください。

実はいつからなる?

わが家のリスボンは、2022年の秋に買って、翌年の2023年には実がつきました。株が若いうちは、実を1個くらいに間引いて、株を育てるほうに力を回しています。

初心者におすすめのレモンの品種は?

寒さにやや強く、「レモンらしい味」が楽しめるリスボンがいちばん育てやすいと思います。実をたくさん収穫したいなら璃の香もおすすめです。

不織布の防寒はいつから始める?

11月中旬から12月上旬のあいだに始めます。11月下旬〜12月に急に冷え込む日が来る前に、鉢ごと包んで軒下へ移しておきましょう。

リスボンと璃の香、どちらがいい?

レモンらしい強い酸味を楽しみたいならリスボン、たくさん収穫したい・トゲの少ない木がいいなら璃の香です。

まとめ|今週末やること

レモンの苗選びは、「酸味のリスボン」か「実つきの璃の香」かで考えると迷いにくくなります。関東から北で育てるなら、最初の年は鉢植えで、しっかり防寒してあげてください。

今週末やることは1つ。苗を買ったら、ポットからそっと抜いて根の張り具合を確かめましょう。根が少なければ3月まで待ち、ある程度張っていれば根鉢を崩さずにひと回り大きなスリット鉢へ植え替えます。元肥を忘れずに入れたら、11月中旬〜12月上旬に不織布で鉢ごと包んで軒下へ移し、最初の冬をしっかり守りましょう。

この記事で紹介したレモンの苗と、植え付けに使うもの

  • レモン「リスボン」2年生接木苗(楽天/Amazon) レモンらしい強い酸味の定番品種。うちのレモンもこれです。
  • レモン「璃の香」の苗(楽天/Amazon) 実つきがよく、トゲの少ない品種です。
  • サイパンレモンの苗(楽天/Amazon) 大きめの実がなる品種です。
  • ユーレカレモンの苗(楽天/Amazon) 果汁と香りが豊かな、世界的な定番品種です。
  • マイヤーレモンの苗(楽天/Amazon) 酸味がまろやかで、皮の苦みが少ない品種です。
  • ビラフランカレモンの苗(楽天/Amazon) トゲが少なく扱いやすい品種です。
  • ジャンボレモン(ポンデローサ)の苗(楽天/Amazon) 800〜900gにもなる大きな実の品種です。
  • スリット鉢(楽天/Amazon) 苗のポットより、ひと回りかふた回り大きいものを選びます。
  • 草花用の培養土(楽天/Amazon) お店で売っている一般的なもので十分です。
  • マグァンプK(中粒)(楽天/Amazon) 私が植え付けの元肥に使っています。約1年ゆっくり効きます。
  • 不織布(楽天/Amazon) 100円ショップのものでも十分です。冬は鉢ごと包みます。
  • 簡易ビニールハウス(小型の簡易温室)(楽天/Amazon) 不織布で包んだ鉢を入れると、さらに安心です。
  • IBのチカラ グリーンそだちEX(花ごころ)(楽天/Amazon) 私がレモンに使っている、苦土(マグネシウム)入りの肥料です。

次に読む

2年目以降の夏の剪定と、9月の肥料はこちらです。
→ レモンの夏枝・秋枝は切る|見分け方と切らない場合・9月の肥料

秋に伸びる枝の剪定はこちらです。
→ レモンとユズの秋枝剪定|実のある木と2年目の若木の切り方