果樹

イチゴ-栽培サイクル(植え付け、収穫、新苗作り)

もうすぐ初夏を迎えるので、長いイチゴ栽培が一巡りしました。
家庭菜園でやってみたい果物として、必ず挙がるのがみんな大好きイチゴです。
果樹と比べると生育が早く、植え付けると翌年には立派な実を収穫することができます。
管理も難しくなく、プランターや鉢といった小スペースでも十分に大きな実の収穫まで持っていくことができます。
また、このイチゴですが、野菜とは違って、収穫したらおしまいっではなく、うまく育てれば毎年実を収穫できる植物です。

今回はそんなイチゴの栽培サイクルを初心者にも分かりやすくご紹介したいと思います。

栽培スケジュール

9〜11月:植え付け

3月:追肥

4月:摘果

5月:収穫

6〜7月:新苗作り

品種

イチゴは実ができる時期により大きく2つに区分されます。
余談ですが、日本ではイチゴの実は冬場に流通が多いですが、これはイチゴ農家でハウス栽培によるものです。加温して育てることで冬に収穫しておりますが、イチゴ本来の収穫時期は春になります。

一季咲き

年に1回、春に実を付ける品種です。
実の数が多く、大きくなるものが多いので、収穫をメイン目的とする場合はこの品種がオススメです。
スーパーで売られているイチゴの実もほとんどがこちらの品種になります。

四季咲き

通年を通して、花、実を付ける品種で主に春、秋の2回収穫できます。
実の数が少なく、大きさも小ぶりになります。
鑑賞目的でたまに摘んで食べれればいいという人はこちらの品種が良いでしょう。

植え付け

イチゴには「ランナー」「クラウン」という特殊な部位があるので、まずはこちらを説明します。

ランナーとは株の根元から伸びている紐状の部位です。
イチゴはこのランナーを伸ばして、自分の子供の株を次々に増やしていく性質を持っています。子供の株が土に根を張り、新しい子株が作られるようになります。
ランナーを放置すると栄養分をとられてしまうので、見つけたら切るようにしましょう。
ランナーが伸びている箇所の反対側にイチゴの実は付きます。

クラウンとは株の根元にある王冠型の葉の塊のような部分です。
イチゴの生育において重要な部分になるので、傷つけたり、埋めたりすると正常に育たなくなります

植え付けで気を付けるポイントは2つになります。

  • クラウンを埋めないこと
  • 実が地面に付かないようにすること

クラウンを埋めないこと

前述したようにクラウンを土に埋めてしまうとうまく育たなくなってしまうので、植え付け時はなるべく深植えしないように注意しましょう。

実が地面に付かないようにすること

これは収穫時期のことですが、イチゴの実は非常に柔らかいため、痛みやすく、害虫にすぐ食害されてしまいます。
そのため、地面に付いてしまうときれいな実の収穫が困難になります。
植え付けのタイミングで実ができる位置を考慮することが重要となります。

では、どのような場所に植え付けるのが良いのか?
実を空中に浮かせやすいプランター栽培がオススメです。
露地だとどうしても土についてしまうため、レイズドベッドのように一段上げて育てるような工夫が必要になります。
実はランナーの反対側に付くので、実がプランターの外側に来るように植え付けると収穫が非常に楽になります。

写真のようにプランターに複数株を植えてみましょう。
株間は20cmぐらい空ければ大丈夫です。

収穫前手入れ

収穫までにやることは3つあります。

  • 追肥
  • ランナー除去
  • 摘果

追肥

イチゴは2回の追肥を行います。
肥料は有機肥料、化学肥料のどちらでも良いですが、露地の場合はなるべく有機肥料にしましょう。

1回目は冬前の11月〜12月上旬です。植え付け後の生育期間なので、真冬になる前にしっかり上げましょう。根が活着してからでないといけないので、植え付けてから1ヶ月立ってから上げるようにしましょう。

2回目は春先の2月下旬〜3月です。春に花、実を付けるためにここでもしっかりと栄養分を補給させましょう。

ランナー除去

上述したようにランナーを伸ばして多くとドンドンと栄養分を取られてしまうため、ランナーは見つけたら切るようにして下さい。植え付け後から定期的に出てきますが、特に春になると次々と出てきますので、放置しないようして下さい。

摘果

追肥が十分足りていると春にたくさん花を咲かせるようになります。受粉する実が付くようになりますが、実の付けすぎに注意して下さい。1つの株から何本の茎が出てきて、その茎ごとに数個の実を付けます。1つの茎に実の数が多いと実が大きくならないので、2〜3個になるように余分な実を取り除いて下さい。

収穫

実が赤くなったら、いよいよ収穫です。
熟した実は痛みやすいので、都度確認して収穫するようにしましょう。

新苗作り

来年も収穫するために

収穫まで終わるとイチゴ栽培も一区切りになります。
また来年も美味しいイチゴが食べたいっとなると思います。
イチゴは多年草なので、そのまま株を育てれば、また来年収穫することができます。
しかし、ここがポイントなのですが、イチゴは育て続けると年々弱っていき、収量が落ちてきます。そのため、このまま育てると来年には今年と同じ量の実を収穫することは難しいです。

そこで必要になってくることが、株の更新です。
育てていた株を親株として、子株を作ることで、また新しい苗を秋から育てることできます。
この子株を作るのにランナーを使います。
これまではずっと切っていたランナーですが、収穫後は実に栄養分を回す必要がなくなるので、ランナーに栄養分を使ってもらい、子株を作るようにします。

新苗の作り方

写真のようにランナーの葉の部分を土を入れたポットに乗せる。
ランナーが動かないように小枝、割り箸、Uピンなどで固定します。
子株からさらにランナーが伸びていますが、これは切り取ります。

子株はランナーを通して親株から栄養分をもらって、成長していきます。
しばらくすると子株が根を張り、大きくなってきます。

根を張って、葉を展開すれば子株自身で栄養分を作ることができるので、ランナーを切って親株から独立させます。
10日ほどで写真のサイズまで成長します。
このサイズになればランナーを切ってしまって大丈夫です。

秋までの管理

独立した後の子株は弱りやすいので、水やり、鉢増しをしっかり行いましょう。
肥料を必要ありませんので、とにかく水切れに気を付けるようにしましょう。
秋まで管理して、しっかりとした新苗に仕上げられれば、またイチゴの栽培を楽しむことができます。
このように株の更新をすれば毎年たくさんの美味しいイチゴを収穫できますので、皆さんも挑戦してみて下さい。