果樹

フェイジョア-剪定(春~夏)

皆さんはフェイジョアという植物をご存じでしょうか。
南米原産の樹木で暑さ、寒さに強く、害虫も湧きにくく、非常に育てやすい常緑樹です。
リーフが表が緑、裏が白ととても美しい容姿をしており、夏になると南国風の派手な花をつけるため、シンボルツリーとしても人気があります。
さらに南国風の実も付け、別名パイナップルグアバとも呼ばれ、果樹としても優秀です。

以前から気になっていたので、今年から鉢栽培を始めました。
丈夫で管理がほとんど必要ないのですが、樹形を整えるために定期的に剪定はしなければなりません。
これから育てる方や剪定のやり方がわからないという人向けに説明させて頂きます。

品種

フェイジョアにはたくさんの品種があり、品種により実の大きさ、味が異なります。
また重要なポイントとして、別品種と受粉しないと実を付けないので、最低でも2本育てないと実を収穫することはできません。ただし、例外として「アポロ」という品種は1本で実を付ける自家受粉することができます。

実の収穫を狙う方は2本植えるか、アポロを植えるようにしましょう。
私は実の評価が高い「アポロ」「トラスク」の2品種を育てております。

アポロは、
自家受粉できるので、1本で実を付けるという特徴を持っているため、非常に人気の品種です。実を大きく、味が良い。

トラスクは、
実が大きく、味が良い。さらに収量も多く採れるという特徴を持っています。

樹形を考える

フェイジョアは頂芽優勢が強く、上向きにどんどん枝が出てくる樹木です。そのため、樹形を整えないと背丈が高く、枝が暴れてしまいます。

フェイジョアはたくさん枝が出るので、目的に合わせていろいろな仕立て方ができますので、事前に決めておいたほうが良いです。
シンボルツリーとして使う場合は枝の分枝を増やして、ツリー型に仕立てたほうが見た目がきれいです。または何よりも果樹としての収量を優先したい場合は、枝数を減らし、背丈を低くすることで実の数を増やし、収穫しやすい形を目指します。

私はシンボルツリーにしたいので、中段に葉を茂らせたこんもりとした丸形の樹形に仕上げたいと思います。中段を茂らせることで花を見やすく、実が捕りやすくなると思います。枝を多く中心を茂らせることで風にも強い樹形にしたいです。

春の剪定

一般的な常緑樹と同じで4月下旬~5月にかけて、樹形整理のための剪定を行います。
不要な枝の除去や切り戻しを行います。
切り戻すと花芽を飛ばすことになるので、全ての枝には行わず、半分ぐらいを切るイメージです。
大まかにやる作業は次の2つになります。

  • 不要枝の除去
  • 葉が少なくなった徒長枝は分枝させたいので1/3残して切り戻し

不要枝の除去

この時期は大きく切っても大丈夫なので、邪魔な枝は全部取ってしまいます。
まず不要なのが、冬の間に枯れ込んでしまった枝です。
次に確認するのが、樹形の乱す原因となる「下向き」「交差」「小さすぎる」枝です。他の樹木でも同様ですが、こういった枝は取るようにしましょう。

写真のように下向きの枝は不要なので抜きます。

このようにいくつかあるヒョロヒョロした小枝も全部抜きます。

葉が少なくなった徒長枝は分枝させたいので1/3残して切り戻し

フェイジョアの葉は時間経過や冬の寒さによって、どんどんと枯れていきます。一度葉が落ちた場所から葉が生えることはないので、そのまま放置しておくと根元に近い場所がはげあがってきて見た目が悪くなります。
そのため、伸びた枝は切り戻して、新たに枝を付けて葉を再生させることで見た目を保つことができます。
切った枝は二股に分枝しますので、樹形をイメージしながら切りましょう。
また、切り戻しは花芽を飛ばすことになるので、一気に切り戻すことは避けましょう。

根本の方に葉が少ない徒長枝は切り戻します。

こっちの株は不要な徒長枝がなかったですが、葉が少し傷んでいますし、枝が伸びすぎるのは嫌なので、少し先端1/3程度を切り戻します。

剪定前後の見た目

剪定前後の比較をします。
不要枝の除去、切り戻しをしているので、全体的にスッキリしました。
剪定した枝、葉はマルチングに利用しています。

アポロ 左:剪定前、右:剪定後

トラスク 左:剪定前、右:剪定後

夏の剪定

6〜9月の暑い時期は枝が伸びる時期になるので、定期的に剪定作業を行います。
夏の剪定は次の2つになります。

  • 新しい枝の摘心
  • 不要枝の除去

新しい枝の摘心


見た目を重視するシンボルツリー目的であれば、枝が伸びすぎる前に摘心、分枝を繰り返して枝数の多い樹形に仕立てる必要があります。枝数が多くなれば、葉、花の数も増えるので、見た目もきれいになります。
果樹目的であれば、大きい実を採るためのに枝をある程度しっかりと伸ばす必要があります。
頻度の違いはあれど、この時期の摘心作業は重要になります。
また、このタイミングで「下向き」「交差」の枝が出てきたら、合わせて除去するようにしましょう。

今回は見た目を重視するツリー状を目指した剪定を説明します。

この時期になると春から伸びた新しい枝が何本か出てきます。色が白っぽいので、見た目ですぐ分かります。
摘心は新しい枝が5〜6節、または15〜20cmほど伸びた位置を目安に行います。
枝を切るとそのすぐ下の節から二股に分枝して、また枝が伸びてきます。
分枝して伸びた枝をまた摘心することで枝数を増やしていきます。

実際のやり方を見てみましょう。

6月の株の状態です。
新しい枝が伸びてきて、20cm以上に伸びた枝がいくつか出てきました。

このように伸びた枝の先端部を摘心します。

写真が剪定後の様子です。
先端を摘んだだけなので、そんなに変わりません。
この時期になると枝はどんどん伸びてくるので、定期的に確認して伸びた枝を切るようにしましょう。

不要枝の除去

春の剪定と同様です。
この時期は新しい枝が伸びてくるタイミングなので、不要枝を取り除くことで、早めの処置ができることになります。

分枝した新しい枝の中で不要枝が出てきます。
写真はそれほど顕著ではありませんが、やや下向きに出ています。
これを早めに取り除くことで無駄な栄養が取られることがなくなります。