栽培テクニック

挿し木 – 1株からどんどん増やせる

最近だいぶ暖かくなった来ましたので、お庭の草花もグングン大きくなっています。梅雨前に混み合った箇所を切って、花壇・プランターの整理をしても良い時期です。
切った枝を皆さんどうされていますか?そのまま捨ててしまっていますか?
草花の枝は花瓶に挿したり、ドライフラワーにしたりとまだまだ使い道がたくさんあるので、捨てるのは勿体ない!
特にオススメなのが、挿し木で増やすことです。
株を増やすことで複数植えでボリュームアップしたり、枯れたときのバックアップにしたりと、園芸の幅が広がります。
今回は挿し木をやったことがない人向けにやり方をご紹介します。

挿し木とは

草花、樹木の枝を切って、土に挿してしばらくすると根っこが出て新しい株になります。種の用に大量に増やすことはできませんが、元の植物と同じ品種の株を確実に増やす方法として有用です。

■要注意■
植物の中にはPVP、パテントといった登録品種もあり、これらは増やすことが禁止されています。挿し木を行う場合は、登録品種でないものを選んで下さい。

時期

挿し木は真夏、真冬以外であれば、いつでもできます。特に植物の生育期である5〜6月が根が出やすく、成功率が高いのでこの時期がオススメです。

挿し穂の作成

挿し木の元になる切った枝のことを「挿し穂」といいます。
植物の茎にはいくつか節(芽が出たり、枝分かれしている箇所)があります。挿し穂は少なくとも3節以上は必要となります。剪定する際に意識するようにしましょう。

この節は芽が出たり、根が出る箇所になります。
節を土に埋めて根を出し、地上部の節から芽が出たら、挿し木の成功となります。そのため、最低でも根と芽にそれぞれ1節ずつあれば、挿し木できますが、少し余分に節があった方が成功率は上がります。

剪定

元となる植物の先端の枝の方が挿し木の成功率が高くなります。中間の枝よりも先端の枝の方が成長する勢いが強いので、芽や根が出やすくなります。
写真のように節の少し上の部分を切り取ります。
サンプルはゼラニウムを使っています。

下処理・整形

切り取った枝をそのまま土に挿すと成功率がグンッと落ちます。
切り取った枝の切り口から水を1〜2時間ほど吸わせて、しっかりと水分を持たせることが必要です。
また、ただの水ではなく、活力剤のメネデールを加えることでさらに根の出が良くなります。

水を吸わせたら、挿し穂の整形を行います。
一番下の節のすぐ下を斜めに切ります。(根を出す節)
節の数が少ない場合は他は切らなくても良いです。
節の数が多い場合は節を3〜4個になるように、上側の節のすぐ上を水平に切ります。
土に埋める節は水分を吸い上げる断面を大きくするため斜めに切り、地上部は蒸発を少なくするため、水平に切ります。

切った後は1〜2枚になるように葉を落とします。葉が大きい場合は半分に切っても良いです。葉が多いと蒸散により水分がすぐになくなってしまいます。

これで挿し穂の完成です。

土に挿す

挿し木に使う土は栄養分があってはいけないので、必ず挿し木用の培養土もしくは鹿沼土、赤玉土を使いましょう。
植物は水分や栄養分を探して吸い上げようと頑張って根を出します。そのため栄養分の多い土ではなかなか根を出そうとしません。また栄養分のある土は多くの菌を含んでいるため、切り口から感染して、枯らしてしまうことにも繋がります。

挿し木用の土に事前にしっかりと水をかけて湿らせます。
土に割り箸で穴を空けて、挿し穂を入れて、軽く押さえて、穴を塞ぎます。
最後に軽く水を上げたら完了です。

挿し木の管理

水が切れると一気に枯れるので、土が乾いたら水をあげるようにします。あげすぎると根は出てこないので、適度に乾かすようにして下さい。
2週間以上経つと根が出てきますので、鉢上げすれば完了です。
根が出るまでの期間は種類や時期によります。暑い時期の方が当然早くなります。