栽培テクニック

摘心(ピンチ)-株をモリモリに仕立てる

いよいよ関東も梅雨に入りました。雨が多く、蒸れやすく、草花にとっては嫌な時期です。しかし、多くの草花が良く育つ時期でもありますので、適切な剪定を行うことで株を丈夫にしたり、ボリュームアップさせることができます
草花、野菜を摘心(成長点を切る)することで株のボリュームが上がり、最終的な花数、収穫量を増やすことができます
基本的な技術ですが、重要なので、今回紹介したいと思います。
説明を見ながら、ぜひご家庭でも試してみて下さい。

頂芽優勢について

摘心の前に「頂芽優勢」の説明をさせて頂きます。
植物には地面から上方向に最も高い部分に栄養分を優先して送ろうとする性質があります。
例えば、1本だけビョーンと長い枝、茎が上に向かって伸びている場合、その1本にだけ栄養が集中してしまい、他の枝に栄養が回らなくなります。
逆に、枝の長さ均等で枝数が多い場合、枝数分だけ栄養が分散されて、枝が大きく育たなくなります。

摘心のメリット

摘心とは頂芽優勢の性質を利用して、伸びた茎、枝を切ることで他の枝に栄養を分散させて、枝数を増やすことです。
この作業を行うことで3つのメリットがあります。

  • 花数、収穫量を増やせる
  • 草丈を抑えられる
  • 樹形が整う

花数、収穫量を増やせる

摘心して枝数を増やすことで、最終的な花数を増やすことができます。同様に葉野菜も枝数を増やすことで葉の収量を増やすことができます。
注意点としてトマトのような実を収穫する野菜には使えません。実は花を付けるよりも多くの栄養分を必要とするため、逆に枝数を少なくして栄養分を集中させて育てなければいけません。

写真はジニアです。
左が摘心した株、右が摘心していない株です。
摘心した方が先端が2つに分枝し、2倍の花を付けるようになります。

草丈を抑えられる

ツル性植物や樹木は何もせずに育てていると主軸が上へ上へと伸びようとするため、自分の背丈よりも高く育ってしまい、管理が大変になります。
適切な高さで摘心して成長を抑えることで、理想とする高さに調整することができます。

樹形が整う

摘心をしないとヒョロっとした細長い株になってしまいます。このような株は見栄えも良くないし、風で倒れやすい樹形になってしまいます。
摘心を何度か行って、枝数を増やすことで、ツリー型の樹木やこんもりとした草花に仕立てることができます。こういった株は見栄えが良いだけではなく、ガッシリとしているため、風や雪に強い樹形になります。
また、葉の数が多くなるので、たくさんの栄養分を作ることができるようになるので、丈夫な株になります。

摘心のやり方

植物は節から枝、根が出てくるので、枝、茎の先端の節のすぐ上を切り取るのが基本です。
切るとその下の節から2本新たな枝が伸びてきます。伸びた枝をさらに摘心することで枝数が増えて、こんもりとした樹形に整います。
切り方のポイントとして、先端ばかり摘心すると先のほうだけが分枝して、頭デッカチの樹形になり、倒れやすくなってしまいます。そのため、下部~中部で1度は摘心しましょう

株が小さいうちに摘心して枝数を増やしておくことで、成長の無駄がなくなり、早くボリュームのある株を仕上げることができます。小さいうちに摘心すると成長が遅れて、花がつくのが遅くなりますが、その分最終的な数は多くなります。
お店で売っているボリュームのある値段の高い株もこのように摘心の手間をかけて仕上げています。

注意点として草花を小さいうちに摘心すると花が見れる時期が遅くなってしまいますので、全部を摘心するのではなく、一部だけ摘心して、残りはそのまま育てて、開花時期をばらしすようにしましょう。そのまま育てた株は花後に伸びた分を切り戻して、後から分枝させてボリュームをつけていきましょう。

写真はバジルの苗です。
摘心前の状態がこれです。

節の少し上を切ります。
これは極端に切っていますが、なるべく小さな芽が出ている節の上から切ったほうが良いです。芽が出てこない可能性もあるので。

もう1つサンプルとして、シソの写真を紹介します。
2か所摘心しているのがわかりますのでしょうか。
このようにいくつも摘心することで、株が放射状に伸びていき、ボリュームのある株に仕上げることができます。

最後に

いかがだったでしょうか。
摘心は基本的な作業ですが、植物を丈夫できれいな樹形を作る上で重要な技術になります。
まずはこの夏に草花やシソ、ハーブ類で試して見て下さい。
慣れてきたら、樹木の剪定に活用していくと思い通りの樹形に仕上げることができるようになります。

草花、樹木の樹形をある程度思い通りに作れるようになれば、理想の庭造りに大きく近づくことになりますので、少しずつでも練習していきましょう。