こんにちわ、10月下旬になり、秋も真っ盛りになってきましたね。
皆さんは「緑肥」というものをご存じでしょうか。実は植物の中には、有機肥料を自分で育てて、それを収穫してすき込むというものがあります。地味に見えて意外と景観が良いものもあり、クローバーやレンゲのように、目立つ花が咲いてきれいな景色を作れるものもあります。この秋は春の花の種をいろいろまいていると思いますが、こうしたあまり目立たない緑肥というものもあります。スペースが余っていたり、ちょっと畑の調子が悪いなと思う区画があったりしたら、今回紹介する緑肥を試してみてはいかがでしょうか。

結論

緑肥は、花を育ててからそのまま土にすき込み、肥料にする植物です。秋まきの緑肥は9月下旬〜11月に種をまき、春に花が咲いたら刈ってすき込みます。化学肥料を使わずに土を肥やせて、咲いている間は花も楽しめます。秋に畑や花壇のスペースが空いている方は、ぜひまいてみてください。

ただし、夏に向けて土地が空いている場合は別です。春〜夏まきの緑肥用ひまわりなら、5〜8月にまいて夏のうちにすき込めます。

やることは3つ。①空いた場所の雑草やマルチを片付けて、米ぬかを少しまく、②種をばらまきにする、③まいた所をしっかり踏んで、種と土を圧着させる。

やらないことは2つ。肥料を入れること(緑肥そのものが肥料になります。米ぬかを少しまく程度で十分です)と、まいた種をそのままにすること(土にくっついていないと、雨で流れたり根を張れなかったりします)です。

今回種をまいた畑と、緑肥を育ててきた条件です。

地域茨城県(関東平地・中間地)
場所夏にカボチャを育てていた畑の一角
まいた緑肥緑肥用からしな(シロカラシ)タキイ「黄花のちから」
作業日2026年10月25日
これまでの実績同じ種を秋にまき、2024年4月下旬に開花・すき込み。クリムソンクローバーも毎年育てている

緑肥とは|育てた花をすき込んで肥料にする

化学肥料をなるべく使わず、有機肥料を中心に育てている方におすすめしたいのが緑肥(りょくひ)です。緑肥は、肥料を自分で育てるための植物です。種をまいて育て、花が咲いたら刈り取って土にすき込む(土に混ぜ込んで埋める)と、そのまま次の植物の肥料になります。

しかも緑肥の多くは見栄えの良い花が咲くので、育てている間は景観としても楽しめます。花を楽しんだ後に土へ戻せば、肥料になって次の作物を育ててくれます。

肥料を買ってきて入れるのではなく、その場で育てて土に返すので、無駄なエネルギーを使わない、環境にやさしい土づくりです。秋は夏野菜が終わってスペースが空きやすく、緑肥をまく方も多い季節です。

緑肥の種まき時期カレンダー

緑肥にはいろいろな種類があり、それぞれ種をまく時期・花が咲く時期・得意なことが違います。下の表は、関東平地(中間地)で育てる場合の目安を、種袋やメーカーの案内と、これまで育ててきた実績をもとにまとめたものです。空いている時期と、緑肥に期待することから選んでください。

表の「すき込み」は、刈り取って土に混ぜ込む時期です。マメ科(クローバーやレンゲ)は根に住む菌が空気中の窒素を取り込むので、窒素(葉や茎を育てる成分)を土に足せます。イネ科(ムギやソルゴー)は茎葉の量が多く、土をふかふかにする有機物をたくさん残せます。

秋まき(冬を越して春にすき込む)

緑肥(商品の例)種まき花・穂すき込み特徴
クリムソンクローバー
(タキイ「ディクシー」)
9月下旬〜11月中旬4〜6月4月下旬〜5月赤い花がミツバチを呼び、果樹の受粉を助ける。マメ科で窒素を足せる
レンゲ
(タキイ「れんげ」)
9月下旬〜11月上旬4月下旬〜5月4月下旬〜5月レンゲ蜂蜜で知られる蜜源植物。マメ科で窒素を足せる
からし菜
(タキイ「黄花のちから」)
10月下旬〜11月4月下旬4月下旬辛味成分が土の病原菌を減らす。黄色い花畑になる
ライ麦
(タキイ「ライ太郎」)
9〜11月穂が4月ごろ3月下旬〜5月上旬寒さに強く、遅まきでも育つ。茎葉の量が多い
エンバク
(雪印種苗「ヘイオーツ」)
10月中旬〜11月上旬4〜5月ごろ穂が出始めたころ(4〜5月ごろ)根菜を傷めるキタネグサレセンチュウを減らす

春〜夏まき(夏〜秋にすき込む)

緑肥(商品の例)種まき花・穂すき込み特徴
ひまわり
(タキイ「緑肥用ひまわり ジル」)
5〜8月7〜10月つぼみ〜咲き始め背が高く茎葉の量が多い。夏の花も楽しめる
ソルゴー
(タキイ「緑肥用ソルゴー」)
5〜8月―まいて約2か月、穂が出る前夏の短い期間で茎葉がたくさん取れる
クロタラリア
(タキイ「ネコブキラー」)
5〜8月8月花が咲く前ネコブセンチュウを減らす。マメ科で窒素を足せる
マリーゴールド
(タキイ「アフリカントール」)
5〜7月8月〜まいて約3か月ネグサレセンチュウを減らしながら、花も長く楽しめる

クリムソンクローバー(3月〜4月中旬)、からし菜(3月)、エンバク(3〜5月)は、春にまくこともできます。エンバクは8月下旬〜9月中旬にまいて、年内にすき込む使い方もあります。

おすすめの緑肥|見栄えと役割で選ぶ

たくさんある緑肥の中でも、家庭菜園や庭で育てるなら、花の見栄えが良く、肥料以外の役割もあるものがおすすめです。

クリムソンクローバー|虫を呼んで果樹の受粉を助ける

一番のおすすめはクリムソンクローバー(クリムゾンクローバー)です。いちごのような形の赤い花が咲くことから、ストロベリートーチとも呼ばれます。見栄えが良く、鑑賞価値が高い緑肥です。

花に蜜がたっぷりあるので、ミツバチなどの虫がたくさん集まってきます。近くで育てている果樹の受粉率が上がるのが、我が家で毎年育てている一番の理由です。育て方や食べた感想は、クリムゾンクローバーの緑肥のやり方にまとめています。

からし菜|土の病気対策になる

タキイの緑肥用からしな黄花のちからの種袋
今回まいた、タキイの緑肥用からしな(シロカラシ)「黄花のちから」の種袋。

からし菜は、病気の対策になる緑肥です。すき込むと、からし菜の辛味成分が、土の中の病原菌を減らしてくれます。春には一面に黄色い花が咲くので、景観としても楽しめます。

今回まいたのは、タキイの「黄花のちから」です。以前にも同じ種をまいていて、花が咲くところからすき込みまで育てられています。

ムギ|バラのある庭に合う

ライ麦やエンバクなどのムギも、緑肥としておすすめです。風に揺れる穂の景色が、バラのある庭によく合います。ムギは茎や葉の量が多いので、すき込むと土をふかふかにする有機物をたっぷり残せます。

ひまわり|夏に向けて土地が空いているなら

夏に向けて土地がかなり空いているなら、緑肥用のひまわりをまくのもおすすめです。5〜8月にまけて、夏の花を楽しんだ後にすき込めます。

ヘアリーベッチは家庭菜園では使いにくい

緑肥の定番としてよく紹介されるヘアリーベッチは、我が家ではあまりおすすめしていません。

ヘアリーベッチにはアレロパシー(植物が出す成分で、周りの植物の発芽や生育を抑える働き)があります。この働きで雑草を抑えてくれるのが長所です。ただ、逆に言えば、育てた場所では、すき込んでからしばらく、まいた野菜の種がうまく育ちません。

広い土地がない家庭菜園レベルでは、すぐに次の野菜を育てたい場所が使えなくなります。そのため、家庭菜園では使いにくいと考えています。

緑肥の育て方|ばらまいて踏み、花の後にすき込む

緑肥を植える作業は簡単です。今回は、夏にカボチャを育てていた場所に、からし菜の「黄花のちから」をまきました。

カボチャを育てていた畑に残ったビニールマルチと雑草
種まき前の畑。カボチャを育てていたビニールマルチと雑草が残っています。

①場所を整理して、米ぬかを少しまく

ビニールと雑草を片付けて米ぬかを混ぜ込んだ畑
ビニールマルチと雑草を片付け、米ぬかを少しまいて混ぜ込んだところ。

まず、ビニールマルチや雑草を片付けて、種をまく場所を整理します。

緑肥はそれ自体が肥料になるので、肥料をあえて入れる必要はありません。今回は米ぬかを少しだけまいて、土に混ぜ込みました。

②種をばらまきにする

畑の土の上にばらまいたからし菜の小さな種
土の上にばらまいた黄花のちからの種。小さな粒が土の表面に散らばっています。

種は、そのまま場所全体にばらまきにします。説明書には覆土(種の上に土をかけること)をするよう書かれていることが多いですが、覆土はしていません。広い場所にばらまくときに、いちいち土をかけてはいられないからです。それでも、しっかり芽が出て、花の収穫まで育てられています。

③しっかり踏んで、種と土を圧着させる

種をまいた後に踏み固めた畑の土
ばらまいた後、全体をたくさん踏んで種と土を圧着させたところ。

一番大事なのが、ばらまいた後に種と土をしっかり圧着させることです。種と土がくっついていないと、雨で種が流れてしまったり、根をしっかり張れなかったりするからです。

まいた所は、全体をしっかり踏みましょう。スコップなどで叩いても大丈夫です。

④花が残っているうちに収穫し、刻んですき込む

種をまいておくと、花のシーズンになってきれいな花がたくさん咲きます。からし菜は、関東平地なら4月下旬ごろが見頃です。

花が咲いた状態で抜き取ったからし菜をたらいに入れたところ
2024年4月27日。黄色い花が咲いているうちに収穫したからし菜。

花の見頃が終わりかけてきたら、花が残っているうちに収穫します。

細かく刻んでざるに入れたからし菜の茎葉と花
収穫したからし菜を、ある程度細かく刻んだところ。

収穫した緑肥は、ある程度細かく刻んでから土の中に埋めて、すき込みます。

畑に掘った穴に入れた刻んだからし菜
掘った穴に、刻んだからし菜を入れてすき込んでいるところ。

緑肥は土の中ですぐに吸収され、微生物にも分解されるので、すき込んですぐに次の植物を植え付けられます。前回は、からし菜をすき込んだ上にすぐ土をかぶせてトマトを植え付けましたが、しっかり育って収穫まで持っていけました。自分で肥料を育て、花も楽しみ、それをすき込んで次の植物を育てる。これが緑肥の流れです。

緑肥でよくある失敗

まいた後に踏まず、種を流してしまう

ばらまいただけで終わらせると、種が土にくっつかず、雨で流れたり根を張れなかったりします。覆土をしない分、まいた後は全体をしっかり踏んで圧着させましょう。

肥料を入れて育ちすぎてしまう

緑肥にも肥料を入れたくなりますが、肥料の効いた場所では大きく育ちすぎて、花の後に雨で倒れやすくなります。緑肥そのものが肥料になるので、入れるとしても米ぬかを少しだけにしましょう。

花が終わるまで放置してしまう

花を楽しみたくて種ができるまで置いておくと、こぼれ種で翌年も思った以上に広がります。花が残っているうちに収穫して、すき込みましょう。

まとめ|今週末やること

緑肥は、花を育てて楽しみ、そのまま土にすき込んで肥料にする植物です。秋まきなら、クリムソンクローバーやからし菜、ムギなどを今の時期にまいて、春の花の後にすき込みます。まき方は、場所を整理してばらまき、踏んで圧着させるだけです。

今週末やることは1つ。空いている畑や花壇に、秋まきの緑肥の種をばらまいて、しっかり踏んでおきましょう。種類に迷ったら、上のカレンダーで種まき時期と特徴を見て選んでください。自分で肥料を作れて景観も良い緑肥は、エコな庭づくりにとてもいい一年草です。

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  • 緑肥用からしな「黄花のちから」の種(楽天/Amazon) 今回まいたタキイのからし菜。土の病気対策と黄色い花を楽しめます。
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  • 緑肥用エンバク「ヘイオーツ」の種(楽天/Amazon) 根菜を傷めるセンチュウを減らす、緑肥用のエンバクです。

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クリムソンクローバーの花の使い道と、すき込みのやり方はこちらです。
→ クリムゾンクローバーの緑肥のやり方|すき込み時期・こぼれ種・食べ方