宿根草と多年草の違いと選び方|植え付け時期と庭での配置
こんにちわ、朝晩がすっかり涼しくなり、苗を植えるのが楽しい季節になりました。秋の庭づくりシリーズは、一年草の種まき、庭木の選び方に続いて今回が3本目です。庭木で骨格を決めたら、次に考えたいのが多年草・宿根草です。一度植えるとしばらく同じ場所で育つので、庭の中でいちばん植える場所選びが難しい植物でもあります。この記事では、多年草と宿根草の違いから、枯らさないための選び方、花の時期と葉の組み合わせ方まで、実際に庭で育てている株の写真で紹介します。10〜11月の植え付けに向けて、庭のどこに何を植えるか一緒に考えてみてください。
結論
多年草・宿根草は、庭木の次に植える「庭の肉付け」の植物です。多年草は常緑樹のように一年中葉が残り、宿根草は落葉樹のように冬や夏に地上部を消して根だけで過ごします。植え付けは10〜11月。その前に、完成形の大きさ・日当たり・乾燥か湿気かの3つで植える場所を決めると、育てる途中で大きく困ることはありません。そのうえで花の時期と葉の形・色を組み合わせると、一線を画したおしゃれな庭になります。ただし、日当たりの悪い場所は別です。花より葉を中心にしたシェードガーデン(日陰の庭)として考えます。
やることは3つ。①完成形の高さと幅を調べ、庭木の次に場所を取る、②日当たりと乾湿に合う種類を選ぶ、③花の時期と、細長い葉・丸い葉の並べ方を決める。やらないことは3つ。小さなポット苗の大きさで間隔を詰めて植えること(年々大きくなり、株同士がぶつかる)、苦手な季節を考えずに植えること(一年中同じ場所にいるので、苦手な季節に弱って枯れる)、春に買った苗をすぐ地植えすること(夏までに根を張る時間が足りず、暑さと蒸れで枯れやすい)です。
庭の植物は、樹木・多年草と宿根草・球根類・一年草の4つに分けて考えています。下の表は、4つの分類を「植えた後に動かせるか」「失敗したときにやり直しやすいか」で比べたものです。動かせないものほど先に場所を決める、という順番で見てください。
| 分類 | 植えた後 | 失敗したとき | 決める順番 |
|---|---|---|---|
| 樹木 | 同じ場所で年を重ねる。比較的丈夫 | 簡単には移せない | 1番目(骨格) |
| 多年草・宿根草 | 一年中同じ場所で育ち、年々大きくなる | 植えた環境が合わないと枯れやすい | 2番目(肉付け) |
| 球根類 | 特定の時期に咲いて地上部がなくなる | 次の年にやり直しやすい | 空いた場所に |
| 一年草 | 得意な季節だけ育ち、長く咲く | 入れ替えてすぐやり直せる | 最後に隙間へ |
この記事で紹介する株を育てている庭の条件です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地域 | 茨城県(関東平地) |
| 植え方 | 地植え中心(ミューレンベルギアは鉢植え) |
| 庭の環境 | 日当たりのよい場所と、塀に囲まれた日陰の場所がある |
| 写真 | 2026年4〜9月に庭で撮影 |
宿根草と多年草の違い
多年草・宿根草は、一年を通して残り続け、何年も育つ植物です。一年草が一年のうちの特定のシーズンにバーッと咲いて枯れるのに対して、多年草・宿根草はずっとその場所に残り、花が咲くのは一年のうちの特定の期間だけです。
特徴的なのは花の期間です。一年草は花の期間が長いものが多いのですが、多年草・宿根草は花の期間が1か月程度と短く、一年のほとんどは葉の状態で過ごします。だから選ぶときは、花だけでなく葉の姿まで見ておく必要があります。
多年草と宿根草の違いは、樹木の常緑樹と落葉樹の関係によく似ています。下の表で、葉の残り方と苦手な季節の過ごし方を比べてみてください。
| 分け方 | 樹木でいうと | 苦手な季節の過ごし方 | 庭の例 |
|---|---|---|---|
| 多年草 | 常緑樹 | 一年中葉をつけ続ける | 黒竜、玉竜、ラベンダー、ワイルドストロベリー |
| 宿根草 | 落葉樹 | 冬や夏に地上部を消し、地下の根だけで生き続ける | ホスタ、アスチルベ、ヘリオプシス |
宿根草は、苦手な季節に地上部を消すことで耐える力が強い植物が多くあります。地上部がなくなっても枯れたわけではなく、根の中で次の季節を待っています。
宿根草は「しゅっこんそう」「しゅくこんそう」と読みます。植物学ではどちらも多年草で、宿根草は多年草のうち地上部を消して休むものを呼び分けた名前です。園芸店のラベルでは両方の言葉が使われるので、冬に葉が残るかどうかを見て選ぶと、植えた後に慌てずに済みます。
4分類でいちばん植える場所が難しい理由
一年草と球根は、簡単に移動ができ、特定の期間だけ咲いて枯れるので入れ替えもすぐできます。失敗しても次の年にやり直せます。一方、多年草・宿根草は一度植えるとしばらくそこで育っていく植物なので、最初に植える場所が大事になります。
一年草は自分が一番得意なシーズンだけ育てばよいのですが、多年草・宿根草は一年間同じ場所に置かれます。そのため、苦手な季節になってもその場所で耐えられるかを考えなければいけません。ここが一年草とのいちばんの違いです。
しかも種類がとても多く、ものによってはかなり大きくなります。樹木は丈夫なものが多いので、多少の環境の変化では枯れません。多年草・宿根草は植える環境によって簡単に枯れることがよくあり、4つの中で一番育てるのが難しいジャンルです。
それでも、ぜひ庭に取り入れてほしい植物です。一年草と違って育てていくとかなり大きくなるものが多く、花のインパクトもダイナミックに出せるからです。庭木で骨格をつくった後、どんな庭にしたいかのベースを決めるのが多年草・宿根草です。
宿根草の選び方|枯らさない3つの条件
育てる途中で困らないために、植える前に見るのは完成形の大きさ・日当たり・乾燥か湿気かの3つです。この3つをちゃんと守れば、育てる過程で大きく困ることはありません。
①完成形の大きさを見て配置する
多年草・宿根草は年々大きくなっていきます。小さく完成するものもあれば、1メートル以上に育つものもあります。苗のラベルや販売ページで完成形の高さと幅を確かめ、その大きさで庭の中に場所を取ります。
順番は、まず樹木を植え、2番目に多年草・宿根草を植えて、庭の大きなイメージをつくります。どちらも動かさない植物なので、先にスペースをきちんと取っておくためです。残った場所に球根や一年草を入れていきます。
②日当たりが得意か、日陰が得意か
多年草・宿根草は、日当たりのよい場所が得意なものと、日陰が得意なものに分かれます。日当たりのよい場所には日なたが得意なもの、日当たりの悪い場所には日陰が得意なものを配置します。苦手な光の下に置くと、一年中その場所で我慢させることになるからです。
③乾燥に強いか、湿気に強いか
もう一つ大事なのが水です。乾燥にとても強いものもあれば、水を豊富に好み、湿気に強いものもあります。アガパンサスやサルビアは乾燥にとても強いので、日当たりが強すぎる場所や土が乾きやすい場所でもうまく育ちます。
逆に、ツワブキは湿気にかなり強い植物です。土が湿りがちな場所には、こうした植物を選びます。


3つの条件で、植える場所に合う種類をまとめました。苗を選ぶときは、まず植えたい場所の日当たりと土の乾き具合を見てから、この表の列で候補を探してください。
| 植える場所 | 合う多年草・宿根草の例 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 日当たりが強く、乾きやすい | サルビア、アガパンサス | 乾燥にとても強い |
| 湿りがち | ツワブキ | 湿気にかなり強い |
| 日陰で花も見たい | アスチルベ、ペンステモン | 日陰でも花が咲く |
| 日陰で葉を楽しむ | ヒューケラ、ホスタ | カラーリーフで、葉がきれいな期間が長い |
宿根草の植え付け時期は秋|春の苗は鉢で育てる
特に宿根草は、植え付けのベストシーズンが秋の10〜11月です。宿根草は冬の寒さに強いものが多い一方で、夏の暑さに弱いものが多くあります。秋に植えておけば、夏までに地面の中でしっかり根を張れるので、猛暑や蒸れにも耐えられるからです。
春に買った苗は鉢で1年育てて秋に地植え
10〜11月にも苗は買えますが、一年のうちで一番苗が手に入りやすいのは、春先の3〜4月です。ただ、春に地面へ下ろすのはおすすめしません。夏までに根を出す期間が短すぎて、夏の猛暑や蒸れに耐えられず、枯れてしまうケースが多いからです。
春に気に入った苗が手に入ったら、まずは鉢植えで管理し、ある程度の大きさまで育てます。1年育ててから、秋に改めて地植えにするのが安全です。
肥料は控え、堆肥でゆっくり大きくする
宿根草はゆっくりと大きくなる性質を持っています。肥料をたくさん与えて急激に育てるのには向いていません。
植え付けの土には肥料分をあまり混ぜず、バーク堆肥や腐葉土などの堆肥で栄養分を補いながら、ゆっくり大きくしていくのが大事です。鉢で育てるときも、培養土に肥料分をあまり足さないのがポイントです。
花の時期と葉の形・色を組み合わせる
3つの条件で植える場所が決まったら、次は見た目の組み合わせです。意識するのは花の時期と葉の形・色の2つです。
花の時期を確認して植える
多年草・宿根草は花の時期がとても短いものが多いので、春に一斉に咲かせたいのか、季節ごとに花を楽しみたいのかを決めてから配置します。これを考えずに植えると、思ったタイミングで花が咲かない庭になってしまいます。植える植物の花の時期を確認し、花が咲いたときの庭の姿をイメージしながら植えていきます。
葉の色と形で一年を楽しむ
花の時期が短い分、一年のほとんどは葉の姿です。だから地味な葉よりも、きれいな葉を選びます。カラーリーフ(葉の色を楽しむ植物)と呼ばれるように、花が咲かなくても葉だけで楽しめるものも多くあります。ヒューケラやホスタは、その目的でよく庭に取り入れられる植物です。




葉の形も、細長い線になる葉と、丸い葉や大きな葉があります。細長い葉は黒竜やスノードラゴン、斑入りのヤブランといったヤブランやジャノヒゲの仲間。丸い葉や大きな葉はヒューケラやホスタです。線の葉と丸い葉が交互に入るように配置すると、とてもいい形になります。花と合わせながら、葉の形と色のバランスをとっていきます。



多年草で縁取りと地面を覆う
多年草は一年中葉がついているので、庭の中でずっとある景色をつくれます。黒竜や玉竜は、花壇の縁取りや特徴的な葉色に使えます。ラベンダーはシルバーリーフ(銀色がかった葉)を取り入れたいときに、ワイルドストロベリーは花のあとにワンポイントの赤い実を添えたいときにおすすめです。


地上に葉を立てるもののほかに、匍匐性(ほふくせい・地面をはうように広がる性質)で地面を覆い尽くすものもあります。リシマキア、クリーピングタイム、ローマンカモミールがよく知られています。一株でかなり広い範囲を覆ってくれるので、土が見えるのが嫌な方や、雑草よけにしたい方はこうした植物で地面にカーペットをつくるのもいいと思います。


日陰の庭は葉を中心にシェードガーデンにする
日陰が得意な植物で組む場所は、ほとんどがシェードガーデンと呼ばれる葉が中心の庭になります。庭には塀に囲まれて日当たりが悪い場所があります。そこは葉を中心にし、イングリッシュローズの中でも日陰で花が咲く品種のダナヒューを植えて、周りを日陰に強い植物で囲んだシェードガーデンにしています。

日陰でも花がほしい場合は、アスチルベやペンステモンのように日陰でも花が咲く宿根草を取り入れると重宝します。葉ばかりの場所に花の色が入り、季節の変化も見えるようになります。ダナヒューの剪定はバラの夏剪定の記事で紹介しています。


庭に入れたいおすすめ5種
ここからは、育てやすく、花や葉がきれいで、私がおすすめしたい多年草・宿根草を紹介します。
サルビア|暑さと乾燥に強い
サルビアは、春に咲く品種もあれば、夏から秋に咲く品種もあります。暑さにも乾燥にも強いので、とてもおすすめです。花もしっかりとしたものが咲き、宿根草の中では花期も長めです。


ガウラ|花期が長くバラに合う
ガウラは、宿根草の中では珍しく花期がとても長いことで有名です。バラに合わせる宿根草としては定番で、花期の長いサルビアとガウラは、バラのある庭にはぜひ入れたい組み合わせです。夏後の切り戻しは一年草・宿根草の夏後の切り戻しの記事で紹介しています。

アガパンサス|乾燥に強くきれいな花
アガパンサスは乾燥に強く、夏にとてもきれいな花を咲かせます。庭では「ファイヤーワークス」を育てています。日当たりが強く、土が乾きやすい場所に花がほしいときにおすすめです。
ヒューケラ・ホスタ|日陰のカラーリーフ
リーフとして使いやすいのがヒューケラとホスタです。どちらもとても人気があり、葉がきれいな期間が長いので、葉を楽しむシェードガーデンでとても重宝します。ヒューケラの小さな丸い葉と、ホスタの大きな葉を組み合わせるのもおすすめです。
アジュガ|葉も春の花もきれい
アジュガはリーフとしてきれいで、春になるとしっかり花も咲きます。葉と花の両方を一株で楽しめる、使いやすい植物です。

ほかにも庭で育てている多年草・宿根草
庭ではほかにも、こんな多年草・宿根草を育てています。花や葉の色、形の参考にしてください。
中でも私がとても好きな宿根草が、エキノプスです。別名ルリタマアザミとも呼ばれ、まん丸の玉のような花が庭の中でよく目立ちます。庭では「アークティック・グロー」を育てています。





多年草・宿根草選びでよくある失敗
ポット苗の大きさで間隔を詰めて植えてしまう
植えた直後は小さくても、多年草・宿根草は年々大きくなります。1メートル以上に育つものを詰めて植えると、数年で株同士がぶつかり、植え直しが必要になります。完成形の高さと幅で場所を取り、最初の隙間は一年草で埋めます。
得意な季節の姿だけで選んでしまう
店先で元気に咲いている姿だけを見て選ぶと、苦手な季節にその場所で耐えられずに枯れてしまいます。一年中同じ場所にいる植物なので、日当たりと乾湿がその場所に合うかを先に確かめます。
春に買った苗をすぐ地植えしてしまう
苗が多く出回る3〜4月にそのまま地面へ下ろすと、夏までに根を張りきれず、暑さと蒸れで枯れやすくなります。春の苗は鉢で1年育て、10〜11月に地植えします。
地上部が消えて枯れたと思ってしまう
宿根草は、苦手な季節に地上部を消して根だけで過ごします。葉がなくなっても根は生きているので、掘り返したり、上に別の植物を植えたりせず、次の芽吹きを待ちます。
まとめ|今週末やること
多年草・宿根草は、庭木で骨格をつくった後の肉付けの部分で、庭をどんなデザインにしたいかを決める重要な植物です。庭木と多年草・宿根草が決まった後、空いている場所に一年草などを植えていくと、庭としてきれいにまとまります。
今週末は、庭木の周りで空いている場所の日当たりと土の乾き具合を見て、植えたい多年草・宿根草の完成形の大きさを調べます。そのうえで花の時期と葉の形・色を組み合わせ、10〜11月のうちに植え付けましょう。
多年草・宿根草の苗を探す
※ここから下にはアフィリエイト広告(商品リンク)を含みます。
実際に庭で育てている多年草・宿根草の苗を探せるリンクをまとめました。品種や苗の大きさは販売ページで確かめてください。
- サルビアの苗(楽天/Amazon) 暑さと乾燥に強く、花期も長めです。
- ガウラの苗(楽天/Amazon) 花期が長く、バラに合わせる定番です。
- アガパンサス「ファイヤーワークス」の苗(楽天/Amazon) 乾燥に強く、夏にきれいな花が咲きます。
- ヒューケラの苗(楽天/Amazon) 日陰で葉色を楽しむカラーリーフです。
- ホスタの苗(楽天/Amazon) 大きな葉でシェードガーデンをつくります。
- アジュガの苗(楽天/Amazon) 葉と春の花を一株で楽しめます。
- ツワブキの苗(楽天/Amazon) 湿気に強く、日陰に合います。
- リシマキア「オーレア」の苗(楽天/Amazon) 黄緑の葉で地面を覆うグランドカバーです。
次に読む
シリーズ第2弾のバラと果樹の庭に合う低木の選び方では、多年草・宿根草の前に決める庭木の配置を書いています。第1弾の秋まき草花5種をセルトレイで育てるとあわせて読むと、庭づくりの順番がつながります。
